アネスト岩田圧縮機部カスタムエンジニアグループのハリーボッターです。
今日は当社のHPで気になったことの1つ、「ノルマルリッタ表記をリットル表記に換算する方法」についてお話したいと思います。
ノルマルリッタとは基準状態(1気圧,温度0℃,湿度0%)での空気量をさす時の単位であり、NLで表します。一方リットル表記の空気量は一般に標準吸込状態(1気圧,温度20℃,湿度65%)での空気量を指しています。
この二つの間には換算係数(HP上で1.079と設定)があるのですが、いきなり与えられていて不思議だと思いませんか?
ということで、この係数を算出してみることにしました。大学の講義のような式展開が以下に続いていきますが、お付き合いいただけたら幸いです。
閉じられた空間において、温度や圧力によって気体の体積は変化しますが、質量は変わりません。すなわち、気体体積×気体密度の値は一定です。
VNρN = VSρS ・・・(1)
ここで、
VN : 基準状態の気体体積 [ m3 ]
VS : 標準吸込状態の気体体積 [ m3 ]
ρN : 基準状態の気体密度 [ g / m3 ]
ρS : 標準吸込状態の気体密度 [ g / m3 ]
(1)式より標準吸込状態の気体体積VSは、
VS = (ρN /ρS )VN = KN-S×VN ・・・(2)
KN-S = (ρN /ρS ) ・・・(3)
で表わされる が換算係数になります。
次に水蒸気を含む空気(湿り空気)の密度を計算します。湿り空気…いわゆる空気のほかに水蒸気を含んでいるため分圧で考えなければいけません。(湿度0%ならあっという間に係数を求められるのですが)
理想気体の状態方程式より、
pDV = (mD / MD ) RT
pWV = (mW / MW ) RT ・・・(4)
ここで、
pD : 湿り空気中の乾燥空気分圧 [ Pa ]
pW : 湿り空気中の水蒸気分圧 [ Pa ]
V : 湿り空気体積 [ m3 ]
mD : 湿り空気中の乾燥空気質量 [ g ]
mW : 湿り空気中の水蒸気質量 [ g ]
MD : 乾燥空気分子量 [ g ]
MW : 水蒸気の分子量 [ g ]
T : 湿り空気温度 [ K ]
湿り空気中の乾燥空気と水蒸気の密度は(4)式より、
ρD = (mD / V ) = ( pDMD ) / RT
ρW = (mW / V ) = ( pWMW ) / RT ・・・(5)
また、湿り空気の全圧Pは次式で表わされます。
P = pD + pW = pD +ψpSA ・・・(6)
ここで、
ψ : 湿り空気の相対湿度 [ % ]
pSA : 飽和蒸気圧 [ Pa ]
(6)式を用いると(5)式は、
ρD = [ (P-ψpSA )MD ] / RT
ρW = (ψpSA MDW ) / RT ・・・(7)
さらに湿り空気の密度は次式で表されます。
ρ=ρD +ρW ・・・(8)
(7)式を(8)式に代入すると、
ρ= [ (P-ψpSA )MD] / RT + (ψpSA MDW ) / RT
= [ PMD-ψpSA ( MW-MD ) ] / RT ・・・(9)
これが湿り空気密度を求める一般式になります。
ノルマル状態の空気密度は、(9)式において相対湿度 =0なので、
ρN = PN MD / RTN
次に標準吸込状態の密度は、
ρS = [ PSMD-ψpSA ( MW-MD ) ] / RTS
よって換算係数は、
KN-S =ρN /ρS
= ( TS / TN )×{ PNMD / [ PSMD-ψpSA ( MW-MD ) ] }
= ( TS / TN )×{ PN / [ PS-ψpSA (MW / MD -1 ) ] }・・・(10)
(10)式においてP = PN = PSとおいています。
最後に以下の数値を代入します。
TN = 273.15 [ K ]
TS = 293.15 [ K ]
ψ = 0.65
P = 1013 [ hPa]
pSA = 2.3388*103 [ Pa ]
MD = 28.74 [ g ]
MW = 18 [ g ]
KN-S = (293.15 / 273.15)×1013*102 / {1013*102-[0.65×103×2.3388*103×(18/28.74-1) ] }
= 1.079
となります。これは当社HP掲載の係数と一致します。
ここまでお読みくださった方、ありがとうございます。
今回は初めてのブログで何を書けばいいのかわからなく単純に自分の疑問に思ったことに関して書いてしまいました。
ですので、次回お会いする時にはもっと実用的なお話ができたらと思います。
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